やっと追いついたー!の第二弾~音楽朗読劇 READING HIGH公演「ROAD to AVALON」~ [■ 舞台作品 Theater]
私の2024年ゴールデンウィークを締めくくる日がやってきました!
音楽朗読劇 READING HIGH公演「ROAD to AVALON」
2024年5月12日夜公演 東京ガーデンシアター
https://readinghigh.com/roadtoavalon/

激戦のチケット争奪戦を抜けて一安心。
当日は、楽しみでニヤニヤするのと、
キャリアと人気がトップの一流の役者さんたちが並ぶ怖さに緊張し、
情緒がめちゃくちゃ!な状態で鑑賞しました。
何もかもが豪華すぎる上に
最先端技術が繊細に調和して
スケールが大きな作品になっているのが素晴らしかったです!
今まで観たことないものを観たー!感が凄い。
これ、隙ができると事故るのでは?というくらい
複雑な演出の装置の数々で、
関わっている方々全員が確実に機能しているから成り立っているの強く感じました。
安定と安心が感じられて、楽しく観られました!
栄枯盛衰を免れられるような、
特別に選ばれた人間など存在しないことや、
伝説はどうやって伝説たりうるのか、成立させていくのかが
アーサー王伝説の末期を題材にして描かれていました。
形あるものはいずれ消えるのが道理の世界で、
記録媒体に乏しい時代に記録を残そうとすると、
神話や神事、伝承や伝説という形で引き継いでいくしかなかったのかもしれません。
内容の真偽よりも、残したくなる動機の方が重要で、
残したくなる何か特別な存在であったという捉え方をすると俄然面白くなります。
なぜ残したかったのか、何をどう残したかったのかというテーマは、
それが伝わった各時代ごと、地域ごと、人ごとに解釈され、
研究のみならず、自由な創作にも繋がっていく、
豊かな魂の継承行為だと思います。
現代においても新たな解釈が加えられるのを見ていると、
テーマの器の大きさや懐の深さに感動します。
『ROAD to AVALON』もその一つだと思いました。
要素の多い舞台作品だったので、
以下、思いつくままに、順不同で並べていきます。
1回現場で観ただけ、他の情報を全く確認しておらず、
記憶と余韻だけで書いていくので、
思い違いがあるかもしれませんが、そこはよしなに。
『VOICARION』でも体験した、
雨上がりに開幕する素敵な方法は、
藤沢文翁さん作・演出作品ならではの様式なのですね。
舞台の照明が点いて中が見えた時、
緞帳が透ける素材であることに気づいて素敵だなぁと。
薄っすら見えるのっていいですよね。
会場がとにかく広くて、3階席までありました。
演出の都合上かオケピエリアは潰されて、
舞台から客席まで結構距離がありました。
役者さんたちが立つであろう場所がかなり高い位置にあり、
高所の席でも見やすくなっていたようです。
私はアリーナの前方席で、
低い位置の席からは演奏者は少々しか見えないのですが、
高所の席だと演奏も見えるのがうらやましかったです。
真正面ではない分、良い具合に舞台全体が視界に収まり、
役者さんは重ならず全員見える好位置。
音楽的な観方になりますが
”良い音を発する人や場所を見る”ことになるので、
それぞれをほぼ目だけで自然に追いかけられたのは好都合でした。
演奏の編成が独特で、
Vc.Key.Gt. 村中俊之さん
Vo. 稲泉りんさん
Vc.Key. 古川淑恵さん
Vc.Gt. 田辺純一さん
Vc. 村岡苑子さん
Vc. 稲本有彩さん
Cb.Bass. 木村将之さん
Dr.Perc. 望月純さん
Dr.Perc. アミリ健アルヴィンさん
チェロ5名!
偏った編成は面白いことが起こる可能性大。
ここでしか聴けないものが聴けるチャンス!
打楽器2名なので、全体的に分厚い音なのだろうなぁ。
ベースは大変だろうなぁ。
鍵盤とギターはチェロと兼務!大変だろうなぁ。
ここに乗せる歌声は絶対凄いと思う!
バーチャイムが見えたので、
時刻を知らせる鐘の音だけではなく
スケールの大きな音楽作品が披露されるのを期待できそう。
・・・と勝手に想像していましたが、
想像をはるかに超えて素晴らしかったです!
題材的にもケルト音楽っぽいアレンジもあり、
そこに留まらないロックな展開になる作品があって、
かっこいい!と思いました。
アンコールでも再度披露されたテーマ曲も素敵でした!
演奏は音色も何もかも最高!で、
そこに稲泉りんさんの歌声が綺麗にはまって、良かったのです。
ずっと聴いていたいなと思ってしまいました。
柔らかく、細かい表現もさることながら、
強い表現でも散らかったり荒れない、
本質的な力強さがあって、聴きごたえがありました。
朗読者の声色を覆わず、添い遂げていくような音色の演奏と歌でもあり、
チェロ主体の編成が効いていて素晴らしかったです。
箱が大きく、役者・演奏者の位置を固定しているからできる
華やかなな演出として、
舞台では恒例の照明やスモークの多用に加え、
火柱やドラゴン花火が立ち、紙吹雪が撒かれました。
紙吹雪が落ちてくる位置の席だったのですが、
黒と赤のフィルムが降ってきて、輝きすぎなくて良いな!と。
音楽のライブは逆にキラキラさせるために金色銀色の使用が多いので、
必要な演出ごとに色を変えるのは面白いと思いました。
今回非常に興味深くて面白かったのが
特殊なLED照明技術を駆使した演出です。
強いて言うなら、ドローンを発光させてドットで絵を描く演出に近いのです。
ネットで調べても全然出てこない、業務用の最先端の機材なんでしょうか。
形はアクセサリーパーツの”丸ロンデル”みたいな感じ
(https://www.partsclub.jp/store/k~25/255E)の、
一つの球体に複数のフルカラーLEDが埋め込まれているものです。
それを一つ一つ吊るし、必要に応じて下ろし、
明滅させてあらゆる情景や事象を表現するのです。
例えば「魔法」や「魔法に準じた力」、
例えば「人ではない何かの存在の空気」
例えば「雨が降る風景」、
例えば「星空」や「流れ星」、
例えば「神秘的な湖畔」、
あと、演奏や演出のグルーヴに沿った空気や何か象徴的なものみたいなものなど、
発光が驚くほど鮮やかで、中間色も出て、
多岐にわたって繊細ながらもダイナミックな表現が繰り出されました。
空間の高さや奥行など距離感や立体感が表現されたおかげで、
臨場感が冴えわたってました。
新しい表現手法で今後も期待が持てそうです。
8,000人の観客で満席の大きな会場で、
大がかりな演出と演奏のど真ん中で
重厚で華やかな衣装を纏い、メイクを施し、
大きな動きは封じられ、ほぼ固定した位置で
台本を持っているとはいえ淀みなく演技をするって、
とんでもないというか、ただただ凄い!と思います。
『VOICARION』では、素晴らしい舞台作品だな!と感動していましたが、
特に今回は会場規模に応じた形ゆえに、
オペラだな!と思いながら感動していました。
台詞か歌かの違い、そもそもこれら二つは遠くはないもので、
声優を主戦場にする役者さんたちによる朗読劇は、
最初からこういった形の可能性もも含んでいたんだなと。
気づいた人が凄い・・・。
スモークの気体、火柱などの熱、強い照明などの影響や観客の前という、
録音ではありえない過酷な環境ではあるのですが、
普段、関係者以外は見ることができない
録音現場での様子の一端が観られる貴重な機会でもあり、
面白いこと、嬉しいことが盛りだくさんでした!
ランスロット:中村悠一さん
様々な役をこなせるのは存じ上げていますが、
正統派の強い英雄を説得力と迫力を持って表現されているのを
ライブで観られて痺れました!
回想シーン、青少年期に遡ると澄んだ声色になったのも印象的でした。
モードレッド:杉田智和さん
一緒に過ごす仲間から少し遅れた立場の複雑な気持ちや、
積み重なった不満に負けていく様子などのグラデーションと、
闇落ちへの爆発力が同時に観られる役で、
コメディ部分もあり、振り幅を網羅されたのが素晴らしかったです!
ガウェイン:安元洋貴さん
いつも凄いと思うのは、
これだけの低音の声でも聴き取りやすい発声が美しかった・・・
役にピッタリな長男感が弟ガレスとの経験値の差として伝わったり、
活劇シーンの、熱い男の強く勢いも素敵でした!
湖の乙女/幼少期のアーサー王:沢城みゆきさん
湖の乙女の、人ではない者の持つ力の美しさと怖さが伝わってきて、
鳥肌が立ちました!
独特な抑揚が心地良くもあり、不思議です。
幼少期のアーサー王のいたいけな、守りたくなる感じにも掴まれました!
ガレス:梅原裕一郎さん
落ち着いた声色なのに、
若々しさと未熟さ、間の悪さも加わって、
愛されていじられる末っ子の感じが微笑ましかったです!
うっかりエクスカリバーを持ててしまった時の無自覚さも良かったです。
アーサー王:諏訪部順一
エクスカリバーの力で自分には訪れないと思っていた
老いや死に向き合う恐怖と、抗うことへの疲労感が
重みをもって伝わってきました。
若いガレスがアーサー王に化けた途端、
ふっと軽くなる切り替わりの絶妙さに感動しました!
アンブローズ・マーリン:大塚明夫
苦労をしながら長く生きてしまったからこそ持ちうる
大らかさと懐の深さが始終じんわり伝わってきました。
同時に、いずれ破綻する秘密を抱えて王に仕えて見守り、
ランスロット、モードレッド、ガヴェイン、ガレスを育てた、
時間を感じさせられたことが効いて、目が潤むことが何度かありました!
あるテレビアニメーション作品がきっかけで
ここ数年の間、作る人たちへの解像度を一気に上げだしました。
声優がメインの役者さんたちの活動にも注目するようになりました。
今では、映画館で流れる予告編のナレーションなどクレジットなしでも、
どなたの声なのかわかるようになりつつあります。
Blu-rayを持っている作品を含め、
好きで鑑賞してきた作品に出演されていたことに気づかず過ごしてきたり、
外国映画は映画館でも、WOWOWの放送でも、配信でも、
字幕版しか観ていなかったため吹き替えでの活動を知らなかったりと、
解像度を上げるほど、機会損失を知ることになり、
もっと早く知っていたら、
『VOICARION』の立ち上げから観ることができたのにと、
悔やむこともあります。
幸い、『VOICARION』も、今回のREADING HIGHも、
様々な形で上演してもらえたおかげで、
ようやく追いつくことができました。
(やっと追いついた!の第一弾
2023年12月10日は各界名優に接する機会が凝縮していた!
~プレミア音楽朗読劇 VOICARION XVII ~スプーンの盾~編
https://sound.blog.ss-blog.jp/2023-12-10-2)
感謝しかありません・・・ありがとうございました!
配信も購入しました。
おそらく正面からの映像をベースにしていると思われるので、
自分の席から見えなかった事象が見えそうで、楽しみです。
念のため、Blu-rayはAmazonで予約しました!
またこういった機会があると嬉しいです!
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音楽朗読劇 READING HIGH公演「ROAD to AVALON」
2024年5月11日・12日昼夜 東京ガーデンシアター
https://readinghigh.com/roadtoavalon/
原作・脚本・演出・作詞:藤沢文翁さん
音楽監督:村中俊之さん
舞台監督:諫山喜由さん
舞台監督:唐澤博隆さん
舞台監督:勇村育世さん
舞台監督:森田充さん
照明デザイン:久保良明さん
音響デザイン:小宮大輔さん
音響効果:熊谷健さん
美術デザイン:野村真紀さん
大道具:伊藤英一さん
大道具:丹内陽子さん
衣裳:大戸美貴さん
楽器:岡田真吾さん
特殊効果:星野達哉さん
DOTIMAGE:小林里緒さん
ランスロット:中村悠一さん
モードレッド:杉田智和さん
ガウェイン:安元洋貴さん
湖の乙女/幼少期のアーサー王:沢城みゆきさん
ガレス:梅原裕一郎さん
アーサー王:諏訪部順一さん
アンブローズ・マーリン:大塚明夫さん
Comp.Vc.Key.Gt. 村中俊之さん
Vo. 稲泉りんさん
Vc.Key. 古川淑恵さん
Vc.Gt. 田辺純一さん
Vc. 村岡苑子さん
Vc. 稲本有彩さん
Cb.Bass. 木村将之さん
Dr.Perc. 望月純さん
Dr.Perc. アミリ健アルヴィンさん
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【余談:みんな大好き!アーサー王伝説 " Arthur's Seat "】
Scotland Edinburghには" Arthur's Seat "(アーサーの玉座)と呼ばれている
大きくて高い丘があります。
伝説に直接の由縁はないらしく、議論の的になったりするようです。
みんなアーサー王伝説への思い入れが強いですね。
以下、2019年の2月に行った時の写真です。

Calton Hill(カールトンヒル)から望む、夕景の" Arthur's Seat "
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同じく、たぶん朝方?午前中なのは確か。

Calton Hillから望む、Palace of Holyrood(The Palace of Holyroodhouse)。

Palace of Holyrood(真冬ならではの改修作業中)
エリザベス2世の避暑地としても有名でした。
王族がいないときは建物内や周辺を見学できます。
建物の向こう側には芝生が広がっていますが、立ち入り禁止。
王族が要人を招いて、Arthur's Seatを眺めながら、または横において、
ガーデンパーティー等をする場であると聞いています。
贅沢ですねぇ。

Holyrood Parkの駐車場から見た" Arthur's Seat "の一端
大きすぎて画角内に収まりません。
トレッキングコースがあり、トレイルランニングで活用する人も多いそうです。
私は時間が取れず登れませんでした、残念。
次の機会では時間を作るつもりです。