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当たり前ですが、「結局、日本が好きなんだ」。 [■博物館・科学館・美術館・ギャラリー]

2012年ゴールデンウィークも
連休だからこそ空く東京を満喫するつもりです。


初日2012年4月28日は、友人が誘ってくれた
KATAGAMI STYLE
世界が恋した日本のデザイン もうひとつのジャポニズム
三菱一号館美術館
に行ってきました。

展覧会詳細はこちら。


休日の丸の内界隈は、
非常に心地よく過ごせるので、大好きです。
ただ、三菱一号館美術館は、入ったことがありません。
有楽町に行く道すがら、
復刻された建物が美しいなぁと、
眺めながら通り過ぎるばかりでした。



敷地に入ると、中庭が広がります。
天気が良く、木々が美しく、入る前からゆったりモード。
素晴らしいです。



展覧会が非常に充実していて、
友人ともども穏やかに興奮状態。
様々に素晴らしかったです。
誘ってくれた友人が、
この方面について大学時代に専攻していたこともあり、
知識も授けてもらえました。



展示物の”幹”に当たるのが、
布に図柄を染め付ける時に使用する「型紙」です。
昨今の手芸品店では
シンプルでファンシーなデザインの樹脂製のものが
「ステンシル」と呼ばれて販売されています。



「型紙」という名の通り、
紙がベース、
柿渋を塗って耐久性を持たせたものを
図案通りに切り抜き、
絹織物など布地に当てて抜かれた部分に防染糊を置いて生地を染めるのです。
切り抜かれた個所が生地の色、
残った場所が、染料の色ということになります。


blog-20120428.jpg


長い生地を染めるためにも、
連続性のある図案や切り抜き方法があり、
技術や知恵の集大成である型紙ですが、
使ううちに摩耗・消耗するものでもあります。
今でこそ保管されることも多いのですが、
昔は破棄されていたようです。
今回展示されていたものは、江戸時代のものが中心でしたが、
実際のところ、
いつの時代から使われていた技法なのかはわかりません。
技法の完成度を見ると、
かなり長い歴史があるものだということがわかります。



型紙の切り抜きは非常に細かく、
これはどうやって作ったの?と不思議に思うと同時に、
伝わる集中力に緊張してしまうほどでした。



型紙作りから染めまで
作業工程を説明するの映像を拝見いたしましたが、
痺れを通り越して震撼してしまいました。



あの精巧な型紙を切り抜く道具は、
図案に応じて自ら作っていらっしゃるようです。
刃物の刃先を研ぐだけではなく、
自ら刃物を作るのです。
丸なら、半円の刃を作り、紙上で半回転で切り抜きますし、
菱形なら、「<」の刃を2本作り、「◇」に組み合わせて切り抜きます。
直径2mmもない形を切り抜く様子を、
短時間見るだけでも汗が出てきます。
作業そのものが芸術です。
染めた後も、生地に間違いなく定着しているか調べ、
欠けていれば人の手で書き足し、
何度も修正を繰り返して反物になる様子を見たら、
高い着物に納得・・・
高くなる理由があるのですよね・・・



そこまでして作り上げる図案がまた素晴らしい!
四季折々の植物・動物を中心に
面白いと思ったであろうものが単純化され、
時に意味を含ませ、
細かく繊細に表現され、
贅沢すぎる様子にうっとり・・・
中には、稲穂に雀なんて、
農家からしてみたら大迷惑な風景も図案にしてしまう、
なんともいえない立場の違いや見え方の距離感も
興味深かったです。



これが海外に行くと
相当大きなインパクトやショックを与えたようで、
その様子が凄まじかったです。

菖蒲の茎・葉や松葉といえば、まっすぐ直線!なのに、
曲線で描いたものありました。

梅花なら鶯(虫を食べる)のはずが、
燕が飛び交ったり、
梅の木の枝に大きな雉がとまるのもありました。

そもそも梅花・桜花のはずが、
アーモンドの花みたいになっていたり、
挙句、菊が”神託の花”と呼ばれ、
殆どダリアかガーベラに化けているものもありました
(もしかしたら、
作者に天皇の紋という知識があったからこそかもしれません)。

さすがに初見では失笑してしまいましたが、
実風物から図案を作った日本人では難しい、
知らないからこそ可能な自由な発想と飛躍っぷりが
非常にダイナミックで、清々しかったです。



ルーツを脱却~を知らぬまま、
脱却したものを欧米諸国で観た
日本人の私が「アールヌーヴォー素晴らしい!」と感動したものの、
そのルーツを手繰れば日本・・・一回りしちゃうんですね~



当たり前ですが、
結局、日本が好きなんですよね。






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