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2023年12月10日は各界名優に接する機会が凝縮していた!~プレミア音楽朗読劇 VOICARION XVII ~スプーンの盾~編 [■ライブ・芝居]

2023年12月10日16時過ぎ、
コミコン会場を離れがたく、
後ろ髪を引かれつつ、
都内に戻って、別の本命、
『プレミア音楽朗読劇
VOICARION XVII ~スプーンの盾~』
日比谷シアタークリエ
の鑑賞です。


「原作・脚本・演出・料理長」藤沢文翁さん
今回初めて知り、鑑賞します。

2023年12月10日18時開演、

カレーム役 福山潤さん
ナポレオン役 中井和哉さん
マリー役 日笠陽子さん
タレーラン役 諏訪部順一さん
Pf. 斎藤龍さん
Vn. 橋森ゆう希さん
Vc. 松本エルさん
Fl. 久保順さん
Perc. 山下由紀子さん

以上キャストの回です。
すでに存じ上げている出演者の情報以外、
表現形式も含めて一切予習をせずに行きました。
東宝関連、シアタークリエという劇場への信頼、
出演声優さんたちへの信頼あってのものですが、
単純に何事も偏見なしで接するのが楽しいからです。
当たった時のインパクトは一生の宝になりますからね!


鑑賞したら・・・
すべて素晴らしかった!!!
楽しみどころが満載で、
全てが絶妙に調和して、
最高の舞台でした!!!
全2幕、完成度にも圧倒されて震撼しましたが、再演とのこと。
洗練され、隅々まで磨かれているわけです。
何もかも冴えわたっていたなぁ・・・
余韻がすごい。


カーテンコール後の出演者のトークも面白かった!
幕が上がるのを待つところから、
幕が降りるまで、本当に楽しかったです。


以下、あれこれ感動を思い出すままに、
書ける範囲で雑多に並べます。


引割り緞帳(左右に開くタイプ)は
非常に美しいインディゴブルー!
ベルベットっぽい素材なので、
照明の柔らかな反射や陰、
光沢も相まって、うっとりします。
紺色系・青系が好きなので、
この時点で盛り上がってました。
開演待ち中に流れる解説によると、
「ナポレオンブルー」とのこと。
有名な盛り盛り肖像画(馬に乗っている)で
着用している軍服の色か。
物語の舞台の時代が提示されつつ、
説明もあり、至れり尽くせり。
解説や注意事項などのアナウンスが
この舞台専用で美しかったです。
影ナレがどなたなのか、
私にはまだ判断する力がありません。


雨音が心地いいのですが
雨が上がると開演との説明がありました。
客席を静かにさせつつ、心の準備をさせながら、
雨音のリラックス効果を活用とは、
ステキ過ぎて震えました。
劇場、映画館、美術館等で
可能なコントロールを放棄して起こる雑音を
嫌悪しているので
(くしゃみや空腹の音は全く気になりません)、
場内をスマホも電源を切って仕舞うよう、
静かに、穏やかに知らせていただけるのは
本当に助かります。
安心して作品を堪能できるからです。


幕が開くと、
外交官も御用達の超高級レストランの厨房。
手前に、役者である声優さん4名が並び、
くり抜かれた壁の向こう、
高いところで楽団が演奏をします。
更にその向こうの背景は、
輝く銅鍋が並んで釣り下がる厨房!
ロマン溢れる舞台セット。
タイトルにもある通り
スプーンが物語のテーマの象徴だからか、
吊り下げられたり、張り付けられたり、
様々な場所にスプーンが配されていました。
照明が当たった輝きは清々しいものでした。
カトラリーやお箸って、
食に直結しつつ実用性で洗練されて、
装飾を施されていないものでも美しいと思うので、
舞台装飾にも活用されるのも良い風景でした。

スプーンといえば、更に素晴らしかったのが、
演奏に使われていたことです。
第二幕が開く直前、
スプーン2本を打ち合うだけで演奏を成立させてしまう
パーカッション担当の山下由紀子さん。
この作品のために演奏方法を確立されたのか、
もともとお持ちの技なのか、
どちらにしても素晴らしいパフォーマンスでした!


役者は衣装を着用、
MAスタジオ内での録音スタイルをベースに
(台本を携えている、立ち位置固定)、
ステージを広く使って並びます。
上手から、
諏訪部さん、中井さん、福山さん、日笠さんの並びです。
内部作業としてあったものが
パフォーマンスとして成り立つな!と
状況に気づいたり、
活かす形にしたり、
発見・発明してしまったところにも感動しました。
朗読に留まらないというか、
もっと動的というか、
吹き替えからの大幅な発展・変異・進化系なんです。


合間に生演演奏(インスト楽曲)が入ったり、
台詞中の演奏もあり、
”広義の音楽性”が存分に堪能できる舞台作品でした。


今回が17弾目(再演を含む)ということは、
かなり前から存在していたということです。
遅ればせながら、この形に出会えてよかったです。


物語は、
地方出身の軍人ナポレオン、

ナポレオンを皇帝に押し上げた
知略に長けた政治家の貴族タレーラン、

内政や外交など様々な重要な場面で利用すべく
タレーランが引き上げて援助した料理の天才カレーム、

盲目ゆえか視覚以外の感覚に優れる
カレームの弟子として補助するマリー、

4名が出会って、成長して、成功して、
同志としての信頼関係や、
友情や共感でつながりながらも、
最後はそれぞれの道に分かれていく話でした。

マリー以外は実在する人物。
記録に残る史実を踏まえて
想像でつないでいくバランスが絶妙な脚本で、
群像劇好きの私にはうってつけ、
最初から最後まで没頭してしまいました。


その脚本を具現化する
役者さんたちの表現力の素晴らしさよ!
大きな動作が封じられ、
立ち位置が変わらないにもかかわらず、
その逆の一般的な舞台と等しい
表現のきめ細やかさや迫力に圧倒されるばかり。
いやぁ、凄いものを観てしまった!!!


生演奏がある舞台作品って、本当に贅沢ですね。
心地よく満たされるし、
作品への共感というか、共振というか、
空気や時間がまろやかになるというか、
沁みるのです。


本編後の短いながらも面白トークも
舞台とは異なる形で楽しかったです!
皆さん話や空気づくりが巧みで、
安心して楽しめました。


マリー役の日笠陽子さんが、
初演の時、
あるフランス語のセリフがどうしてもうまく言えず、
悔しい思いをして、
今回の再演で取り返すべく頑張ったと。
そのセリフの発音は、
フランス語がわかる演奏者からOKが出されていました。
私はフランス語がわからないのですが、
マリーは盲目の貧しい少女で、
同じ境遇のカレームに拾われ、
見込まれて弟子になった経緯を考えると、
頑張っているにもかかわらずうまく言えないことで、
高級レストランに来ている貴族階級との差が出て、
効果的な気がします。


この舞台を観に行く数日前、
タレーラン役の諏訪部さんが2024年初めに
治療に伴い休養されると発表があり驚きました。
とはいえ、計画的な感じなのと、
舞台上の様子は至ってお元気そうでした。
ご無理なさらず、回復に努めていただいて、
少しでも長く健やかなご活躍を拝見したいと
改めて思いました。


キャストの組み合わせが多様で、毎日観たい舞台です!
リラックスして楽しむことに集中できて、
余韻を味わいつつ、
思い出を何度も反芻して行きたくなってしまう、
まさしくメニューが豊富な一流のレストランのような
舞台作品でした。


次の機会も楽しみにしております!


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同日の舞台鑑賞前に参加した
2023年12月10日 東京コミコン2023編はこちら。



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