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たまにはtweet的に。 2024年4月14日 [■映画]

Christopher Nolan監督(以下、Nolan監督)作品を
常日頃から贔屓にしているために
映画" Oppenheimer "観て楽しくなる場面があります。



" Oppenheimer "の初めの方で、
ケンブリッジ大学の実験物理学の教授で、
後にノーベル物理学賞も獲得する
Patrick BlackettをJames D'Arcy,が演じています。
Niels Bohr役のKenneth Branaghが並ぶ場面があり、
あぁ、ホント、素晴らしいなぁとしみじみします。


" Dunkirk "では
James D'Arcy,がCol. Winnant(陸軍大佐)、
Kenneth BranaghがCommander Bolton(海軍中佐)として、
お二人が並ぶシーンが何度かあります。
良いシーンでねぇ・・・

作品も演出も役も違うとはいえ、
この空気の差ですよ!
ん-素晴らしい!



そして" Oppenheimer "では、
James D'Arcy,の出番はケンブリッジ大学だけと、
Nolan監督はJames D'Arcy,を贅沢に使うなぁと思っていたら、
作品の終わりの方でスッと、
鋭すぎる刃物のように刺してきて、
あぁぁぁ、油断した!と
Nolan監督の起用方法に改めて痺れました!



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" Oppenheimer "の終わりの方で、
Cillian Murphy演じる主人公Oppenheimerが
Gary Oldman演じるHarry Truman大統領に、
兵器の研究開発から離れる決意を伝えたために、
去り際、大統領から、こんなやつをもう呼ぶなと聞こえよがしに言われる場面。




" The Dark Knight Rises "では真逆の立場で
Gary OldmanがCommissioner Gordon(Gordon市警本部長)、
Cillian MurphyがDr. Jonathan Crane(Scarecrow)。
Gordon警部を一方的に裁くScarecrowが、
高いところからGordon市警本部長に対して
" Death Or Exile ? "と尋ねながら
" Death ! "(木槌カーン!)"By Exile ! " と朗々と判決を出し、
市庁舎から追い出す場面があるのです。



作品も演出も役も違うとはいえ、
この空気の差ですよ!
ん-素晴らしい!



Gary OldmanのTruman大統領、
話すときの目の動きなどそっくりで、
短いシーンでも隙が無い!と惚れ直していたのですが・・・
そのシーンよりも前の段階、
日本への攻撃を伝えるラジオ放送の声で
Gary Oldmanに気づけなかった・・・

最初に好きになり、今でも最も好きな役者と公言しながら気づけない・・・
ファン失格ですよ・・・
「ん-素晴らしい!」とか言ってる場合じゃないですよ・・・




そして、冒険は続く!その2~ 映画" Oppenheimer " から延びる道を辿って、更に延びる道にも進む~ [■映画]



映画" Oppenheimer "に登場する科学者を調べてみると、
ノーベル物理学賞受賞者も多数含まれ、
日本も大きくかかわることも知り、ますます興味をそそられてしまいます。



1939年にCyclotron(サイクロトロン)の発明・開発や人工放射性元素の研究で
ノーベル物理学賞を受賞した、
米国の実験物理学者Ernest Orlando Lawrence(以下、Ernest博士)。
Josh Hartnettが演じていますが、
写真を見るとそっくりです。



理論物理学者のJ. Robert Oppenheimer(以下、Oppenheimer)と
University of California, Berkeleyで出会います。

映画の中で、Ernest博士は大がかりな実験装置を嬉々として作っていたり、
新説について、理論物理学では証明が難しいことを実験で再現して見せたり、
Oppenheimerと補い合って研究を進めるシーンが印象的でした。

実験にはお金がかかり、
国家プロジェクトとかかわりながら進めるため、
共産主義への共感を研究室に持ち込むOppenheimerを諫めるシーンもありました。

Manhattan Projectにも参加しますが、
戦後、Oppenheimerがソ連のスパイ疑惑を受け、
剥奪されたセキュリティ クリアランスを再申請するための聴聞会では、
拒否側の証人として協力しそうになります。
最終的に土壇場で欠席しますが、
国家プロジェクトとの繋がりが深いだけに、断れなかったと推測される描き方でした。



■ Ernest博士を調べているときに見つけた記事


中部原子力懇談会
シリーズ偉人たち
粒子をもっと速く、もっと強く、高いエネルギーで
アーネスト・オーランド・ローレンス 1901~1958
https://www.chugenkon.org/public/great/90.html



サイクロトロンをシカゴ万博に出品したことで、
Niels Bohr(以下、Bohr先生)に絶賛されている!


Ernest博士は58歳で亡くなるまで米国の方針に沿って活動し、
その一環で、戦後GHQに解体された日本のサイクロトロン
(戦前には世界に2番目に作られたもの)を復旧するために来日して助言をしたそうです。


Science Portal
偉人たちの夢 (70)ローレンス
2002.01.01
https://scienceportal.jst.go.jp/gateway/sciencechannel/c020501070/

※こちらは動画で見られます。


弟のJohn Hundale Lawrenceは最初医師で、
放射線を医学への転用を提案し、
母のがんに放射線治療を施して治したそうです。
しかも、そのあとに物理学者にも転身するという兄弟揃って優秀すぎです。



■ サイクロトロン関係で面白かった記事


WirelessWire News
なぜアメリカはインドにサイクロトロンを譲渡したのか?
地政学と認識論から科学を考える
2023.05.12
Updated by Masahiko Hara on May 12, 2023, 13:25 pm JST
https://wirelesswire.jp/2023/05/84651/




日本で最初にサイクロトロンを作ったのが仁科芳雄博士
この方もBohr先生の生徒だった!


理化学研究所
仁科 芳雄とコペンハーゲン精神
https://www.riken.jp/pr/historia/nishina/index.html


Bohr先生、仁科博士の留学ために奨学金まで手配している!
面倒見の良さよ・・・
noblesse oblige(ノブレス・オブリージュ)ってことですね!

ハイゼンベルクが来日した時の集合写真が見られますが、
キャプションを見る前に、
お、ハイゼンベルク博士じゃない?っと認識できるようになってしまった。



※PDF注意
公益財団法人仁科記念財団
創立百周年記念 理研の歴史講演会 科学の源流と利権精神vol.6
理論と実験の大いなるパイオニア YOSHIO NISHINA
https://www.nishina-mf.or.jp/wp/wp-content/uploads/2024/02/Lecture6-riv.pdf



仁科博士は、広島と長崎がどんな攻撃を受けたのか、
すぐに両地に現地調査に入られて、原子爆弾であることを特定したそうです。
戦後も原子力の平和利用に尽力され、
理化学研究所を残すために奔走され、
ラジオアイソトープの輸入を取り付け、
サイクロトロン復旧の交渉をされるなど、
現代にそのまま繋がる多くの成果を残されました。


あれこれ調べていると、必ずBohr先生がいるんですよ。
たくさんの物理学者を育てているんですよね。


映画" Oppenheimer "
クリスマスパーティー中のLos Alamosに
Bohr先生が立ち寄ったシーン、
そこにいる研究者がみんな生徒の目になるところ、
わぁぁぁBohr先生だぁ!って感じが微笑ましくて好きです。


同時に、ここで原爆が開発されたんだよな・・・・と
思考や気持ちのふり幅が激しいのも事実。


Bohr先生について俄然知りたくなってきました。
さしあたってはここから始めようかな・・・
読みこなせるかな・・・?


『量子革命―アインシュタインとボーア、偉大なる頭脳の激突』
マンジット・クマール著 、青木薫訳
https://www.shinchosha.co.jp/book/220081/



世界が広がっていく・・・
どこまで広がるのだろうか・・・




タグ:Oppenheimer

そして、冒険は続く!~ 映画" Oppenheimer " から延びる道を辿る~ [■映画]

昔、たぶん高校生の頃、
何かしらの作品に接するたびに友人たちと感想を言い合うとき、
ある友人が「冒険のようだ!」と言ってました。
「冒険」であり、探検であり、旅であり・・・



映画" Oppenheimer "はテーマが大きく、
作品や史実における世界の捉え方で探索フィールド範囲が広くも深くもなります。



非常に気になるシーンなどがいくつかありまして、
その一つが

Kenneth Branagh演じるNiels Henrik David Bohr(以下、Bohr先生)と、
Matthias Schweighöfer演じる
Werner Karl Heisenberg(以下、Heisenberg)
の関係性です。



Cillian Murphy演じるJ Robert Oppenheimer(以下、Oppenheimer)の
特性や意思に合わせた進路を挙げ、
学問的な成功へと導くシーンが印象的だったBohr先生
(しかも、偶然、毒殺されかかった)。
デンマーク出身、母がユダヤ人の理論物理学者です。
洞察力もさることながら、
当時のOppenheimerの師である
James D'Arcy演じるPatrick Maynard Stuart Blackettとも親しく、
多くの大学や教授との広い交流も察せられます。
自力で情報収集が難しい時代において、
Bohr先生の教えを請いたい科学者は多かったと思います。



Heisenbergはドイツ帝国出身の理論物理学者で、
Bohr先生の生徒の一人です。
第二次世界大戦前、交流が可能だった時期に
Oppenheimerが
David Krumholtz演じるIsidor Isaac Rabiと共に会いに行くシーンがありました。



Manhattan ProjectにOppenheimerはBohr先生を呼びたかったのは理解できます。
結果、それはかないませんでしたが、
Bohr先生は理論・実務共に超有能な科学者ですから、
当然でしょう。
後にBohr先生は、Heisenbergから原爆開発の相談を受けたことを理由に、
米軍関係者に守られながらLos Alamosにやってきて、
その情報をOppenheimerと共有して、離れます。



そう、気になるのはここ!
この流れです!



枢軸側でドイツ人のHeisenbergが
連合国側にも縁が深いユダヤ系の血筋を持つBohr先生に相談?!
どういうこと?
過去に師弟の関係があったとはいえ、
ご時世的、立場の差的に無理がありすぎんか?
連合国側への情報漏洩のリスクは無視?
Bohr先生がそこから逃げるのは理解できるけど、
Heisenbergの意図がわからんなー、色々わからんなー。
疑問の嵐です。


こういうのは、観ている私の情報不足が引き起こす疑問なので、
気になる部分だけWikipediaで調べてみました。
以下、斜体「」(かぎかっこ)内は、
「ヴェルナー・ハイゼンベルク」からの引用。

Heisenbergは

「ナチス政権下では、相対性理論及びユダヤ人物理学者を擁護する立場」
「ナチス党員の物理学者から、「白いユダヤ人」と呼ばれて強い攻撃に晒された」

学説の論争外で酷い批判をされる時代・・・
Bohr先生に接触した流れに納得すると同時に、
暗澹たる気持ちになりました。

ただ、この接触で何を話したのか、
あまり具体的に明かされていないらしいのです。

「1941年にハイゼンベルクとボーアが
コペンハーゲンで会った際に何が起こったのか、
とくにナチ体制のために核兵器を開発していくことについて
ハイゼンベルクがどういう意図を持っていたかについて
この会見から何がわかるのか、ということは
多くの関心を集めている」


・・・おぉぉぉ、みんな気になるところだった!

更に、英国ではこの会見が
戯曲・舞台、テレビドラマ、ラジオドラマになっているらしい!


Michael Fraynの戯曲" Copenhagen "は
1998年にNational Theatreで初上演

2000年には米国Broadwayのthe Royale Theatre
(現 Bernard B. Jacobs Theatre)、
2001年には日本の新国立劇場で上演されていた!
ちなみにBohr先生(55歳)役は江守徹さん、
Heisenberg(39歳)役は今井朋彦さんという、
超豪華キャスティング。
今なら即効観に行ったわー。

National Theatreさぁ、
映画" Oppenheimer "のヒットを受けて再演してくれないかなー
National Theatre Liveで世界中で上映してくれないかなー



英国のテレビドラマ版" Copenhagen "は、
2002年にBBCで放送。
Bohr先生役はStephen Rea、
Heisenberg役はDaniel Craig。


英国のラジオドラマ版" Copenhagen "は、
2013年にBBC Radio3で放送。
Bohr先生役はSimon Russell Beale、
Heisenberg役はBenedict Cumberbatch。


まーじーかー!
観たーい!
聴きたーい!
キャスティングの豪華さに驚愕するわー!
それだけ興味深いテーマで、
原作戯曲や初演の演出の完成度が高いんでしょうね。



映画" Oppenheimer "
名前だけを含めて出てくる科学者は、
全員当時のトップクラスの方々ばかりです。
戦後の日本に縁が深い方もいらっしゃいます。
科学者として色々と思うところがあったのかもしれません。
多くのドラマを含んでいそうです。



そして、写真を見ると、
キャスティングの精度の高さや
各役者やヘアメイクの寄せ方に改めて感動します!




少しずつ続く道を見つけて、
辿れたらいいなぁと思います。


映画" Oppenheimer "の冒険はまだまだ続いていくのだ!



タグ:Oppenheimer

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