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そして、冒険は続く!その2~ 映画" Oppenheimer " から延びる道を辿って、更に延びる道にも進む~ [■ Oppenheimer (film)]



映画" Oppenheimer "に登場する科学者を調べてみると、
ノーベル物理学賞受賞者も多数含まれ、
日本も大きくかかわることも知り、ますます興味をそそられてしまいます。



1939年にCyclotron(サイクロトロン)の発明・開発や人工放射性元素の研究で
ノーベル物理学賞を受賞した、
米国の実験物理学者Ernest Orlando Lawrence(以下、Ernest博士)。
Josh Hartnettが演じていますが、
写真を見るとそっくりです。



理論物理学者のJ. Robert Oppenheimer(以下、Oppenheimer)と
University of California, Berkeleyで出会います。

映画の中で、Ernest博士は大がかりな実験装置を嬉々として作っていたり、
新説について、理論物理学では証明が難しいことを実験で再現して見せたり、
Oppenheimerと補い合って研究を進めるシーンが印象的でした。

実験にはお金がかかり、
国家プロジェクトとかかわりながら進めるため、
共産主義への共感を研究室に持ち込むOppenheimerを諫めるシーンもありました。

Manhattan Projectにも参加しますが、
戦後、Oppenheimerがソ連のスパイ疑惑を受け、
剥奪されたセキュリティ クリアランスを再申請するための聴聞会では、
拒否側の証人として協力しそうになります。
最終的に土壇場で欠席しますが、
国家プロジェクトとの繋がりが深いだけに、断れなかったと推測される描き方でした。



■ Ernest博士を調べているときに見つけた記事


中部原子力懇談会
シリーズ偉人たち
粒子をもっと速く、もっと強く、高いエネルギーで
アーネスト・オーランド・ローレンス 1901~1958
https://www.chugenkon.org/public/great/90.html



サイクロトロンをシカゴ万博に出品したことで、
Niels Bohr(以下、Bohr先生)に絶賛されている!


Ernest博士は58歳で亡くなるまで米国の方針に沿って活動し、
その一環で、戦後GHQに解体された日本のサイクロトロン
(戦前には世界に2番目に作られたもの)を復旧するために来日して助言をしたそうです。


Science Portal
偉人たちの夢 (70)ローレンス
2002.01.01
https://scienceportal.jst.go.jp/gateway/sciencechannel/c020501070/

※こちらは動画で見られます。


弟のJohn Hundale Lawrenceは最初医師で、
放射線を医学への転用を提案し、
母のがんに放射線治療を施して治したそうです。
しかも、そのあとに物理学者にも転身するという兄弟揃って優秀すぎです。



■ サイクロトロン関係で面白かった記事


WirelessWire News
なぜアメリカはインドにサイクロトロンを譲渡したのか?
地政学と認識論から科学を考える
2023.05.12
Updated by Masahiko Hara on May 12, 2023, 13:25 pm JST
https://wirelesswire.jp/2023/05/84651/




日本で最初にサイクロトロンを作ったのが仁科芳雄博士
この方もBohr先生の生徒だった!


理化学研究所
仁科 芳雄とコペンハーゲン精神
https://www.riken.jp/pr/historia/nishina/index.html


Bohr先生、仁科博士の留学ために奨学金まで手配している!
面倒見の良さよ・・・
noblesse oblige(ノブレス・オブリージュ)ってことですね!

ハイゼンベルクが来日した時の集合写真が見られますが、
キャプションを見る前に、
お、ハイゼンベルク博士じゃない?っと認識できるようになってしまった。



※PDF注意
公益財団法人仁科記念財団
創立百周年記念 理研の歴史講演会 科学の源流と利権精神vol.6
理論と実験の大いなるパイオニア YOSHIO NISHINA
https://www.nishina-mf.or.jp/wp/wp-content/uploads/2024/02/Lecture6-riv.pdf



仁科博士は、広島と長崎がどんな攻撃を受けたのか、
すぐに両地に現地調査に入られて、原子爆弾であることを特定したそうです。
戦後も原子力の平和利用に尽力され、
理化学研究所を残すために奔走され、
ラジオアイソトープの輸入を取り付け、
サイクロトロン復旧の交渉をされるなど、
現代にそのまま繋がる多くの成果を残されました。


あれこれ調べていると、必ずBohr先生がいるんですよ。
たくさんの物理学者を育てているんですよね。


映画" Oppenheimer "
クリスマスパーティー中のLos Alamosに
Bohr先生が立ち寄ったシーン、
そこにいる研究者がみんな生徒の目になるところ、
わぁぁぁBohr先生だぁ!って感じが微笑ましくて好きです。


同時に、ここで原爆が開発されたんだよな・・・・と
思考や気持ちのふり幅が激しいのも事実。


Bohr先生について俄然知りたくなってきました。
さしあたってはここから始めようかな・・・
読みこなせるかな・・・?


『量子革命―アインシュタインとボーア、偉大なる頭脳の激突』
マンジット・クマール著 、青木薫訳
https://www.shinchosha.co.jp/book/220081/



世界が広がっていく・・・
どこまで広がるのだろうか・・・




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