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そして、冒険は続く!~ 映画" Oppenheimer " から延びる道を辿る~ [■ Film]

昔、たぶん高校生の頃、
何かしらの作品に接するたびに友人たちと感想を言い合うとき、
ある友人が「冒険のようだ!」と言ってました。
「冒険」であり、探検であり、旅であり・・・



映画" Oppenheimer "はテーマが大きく、
作品や史実における世界の捉え方で探索フィールド範囲が広くも深くもなります。



非常に気になるシーンなどがいくつかありまして、
その一つが

Kenneth Branagh演じるNiels Henrik David Bohr(以下、Bohr先生)と、
Matthias Schweighöfer演じる
Werner Karl Heisenberg(以下、Heisenberg)
の関係性です。



Cillian Murphy演じるJ Robert Oppenheimer(以下、Oppenheimer)の
特性や意思に合わせた進路を挙げ、
学問的な成功へと導くシーンが印象的だったBohr先生
(しかも、偶然、毒殺されかかった)。
デンマーク出身、母がユダヤ人の理論物理学者です。
洞察力もさることながら、
当時のOppenheimerの師である
James D'Arcy演じるPatrick Maynard Stuart Blackettとも親しく、
多くの大学や教授との広い交流も察せられます。
自力で情報収集が難しい時代において、
Bohr先生の教えを請いたい科学者は多かったと思います。



Heisenbergはドイツ帝国出身の理論物理学者で、
Bohr先生の生徒の一人です。
第二次世界大戦前、交流が可能だった時期に
Oppenheimerが
David Krumholtz演じるIsidor Isaac Rabiと共に会いに行くシーンがありました。



Manhattan ProjectにOppenheimerはBohr先生を呼びたかったのは理解できます。
結果、それはかないませんでしたが、
Bohr先生は理論・実務共に超有能な科学者ですから、
当然でしょう。
後にBohr先生は、Heisenbergから原爆開発の相談を受けたことを理由に、
米軍関係者に守られながらLos Alamosにやってきて、
その情報をOppenheimerと共有して、離れます。



そう、気になるのはここ!
この流れです!



枢軸側でドイツ人のHeisenbergが
連合国側にも縁が深いユダヤ系の血筋を持つBohr先生に相談?!
どういうこと?
過去に師弟の関係があったとはいえ、
ご時世的、立場の差的に無理がありすぎんか?
連合国側への情報漏洩のリスクは無視?
Bohr先生がそこから逃げるのは理解できるけど、
Heisenbergの意図がわからんなー、色々わからんなー。
疑問の嵐です。


こういうのは、観ている私の情報不足が引き起こす疑問なので、
気になる部分だけWikipediaで調べてみました。
以下、斜体「」(かぎかっこ)内は、
「ヴェルナー・ハイゼンベルク」からの引用。

Heisenbergは

「ナチス政権下では、相対性理論及びユダヤ人物理学者を擁護する立場」
「ナチス党員の物理学者から、「白いユダヤ人」と呼ばれて強い攻撃に晒された」

学説の論争外で酷い批判をされる時代・・・
Bohr先生に接触した流れに納得すると同時に、
暗澹たる気持ちになりました。

ただ、この接触で何を話したのか、
あまり具体的に明かされていないらしいのです。

「1941年にハイゼンベルクとボーアが
コペンハーゲンで会った際に何が起こったのか、
とくにナチ体制のために核兵器を開発していくことについて
ハイゼンベルクがどういう意図を持っていたかについて
この会見から何がわかるのか、ということは
多くの関心を集めている」


・・・おぉぉぉ、みんな気になるところだった!

更に、英国ではこの会見が
戯曲・舞台、テレビドラマ、ラジオドラマになっているらしい!


Michael Fraynの戯曲" Copenhagen "は
1998年にNational Theatreで初上演

2000年には米国Broadwayのthe Royale Theatre
(現 Bernard B. Jacobs Theatre)、
2001年には日本の新国立劇場で上演されていた!
ちなみにBohr先生(55歳)役は江守徹さん、
Heisenberg(39歳)役は今井朋彦さんという、
超豪華キャスティング。
今なら即効観に行ったわー。

National Theatreさぁ、
映画" Oppenheimer "のヒットを受けて再演してくれないかなー
National Theatre Liveで世界中で上映してくれないかなー



英国のテレビドラマ版" Copenhagen "は、
2002年にBBCで放送。
Bohr先生役はStephen Rea、
Heisenberg役はDaniel Craig。


英国のラジオドラマ版" Copenhagen "は、
2013年にBBC Radio3で放送。
Bohr先生役はSimon Russell Beale、
Heisenberg役はBenedict Cumberbatch。


まーじーかー!
観たーい!
聴きたーい!
キャスティングの豪華さに驚愕するわー!
それだけ興味深いテーマで、
原作戯曲や初演の演出の完成度が高いんでしょうね。



映画" Oppenheimer "
名前だけを含めて出てくる科学者は、
全員当時のトップクラスの方々ばかりです。
戦後の日本に縁が深い方もいらっしゃいます。
科学者として色々と思うところがあったのかもしれません。
多くのドラマを含んでいそうです。



そして、写真を見ると、
キャスティングの精度の高さや
各役者やヘアメイクの寄せ方に改めて感動します!




少しずつ続く道を見つけて、
辿れたらいいなぁと思います。


映画" Oppenheimer "の冒険はまだまだ続いていくのだ!



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